
どうも、宿をつくってるAOです。
SNSを開くと、今年宿を開業する人の投稿が次々流れてきます。エリアも面白い、コンセプトもおしゃれ。そんななか、私の開業は2〜3年後を見越していて…。
仕方ないと思っていても焦る、隣の芝が青い。
だけど焦ってもどうしようもない。
今年開業する人ばかり流れてくる
スクロールしていると、「今年オープンします」の人が本当に多いんです。
古民家を改修中の人、離島で始める人、もう内装が完成している人。どれも面白そうで、正直まぶしい。
それを見ながら、2〜3年後を目指してコツコツ準備している自分の速度が、急に遅く感じられてくる。しかも私がやろうとしているのは京都。日本有数の宿の激戦区で、この人たちみたいに差別化できるんだろうか、そもそも私の枠なんて残ってるんだろうか、と。考え出すと止まらないやつです。
不安なので、京都の宿の数を数えることにした
考えすぎても仕方ないので、数字を見に行きました。
京都市は宿泊施設の統計を公開しています。
簡易宿所——ゲストハウスや町家一棟貸しが入る区分です——は、コロナ前のピークで3,337軒。コロナで2,794軒まで減って、いまは3,198軒。ほぼピークまで戻っています。直近の1年で新しく許可が出たのは242軒、廃業はたった29軒。
つまり、体感は正しかった。みんな本当に始めてます。私が開業する頃には、京都の宿の数は過去最多を超えている可能性が高いです。
ここで折れそうになるんですが、もうひとつ数字がありました。コロナの1年間で、京都の簡易宿所は583軒消えています。全国の民泊だと、届出した3人に1人がすでにやめている計算になるデータもある。
いま廃業が年29軒しかないのは、みんなが強いからじゃなくて、追い風が吹いているのでしょう。風が止まった年には、1年で583軒が消えた。そういう場所で、私はやろうとしているんだなということを改めて実感する。
撤退した人の声が、どこにもない
それで気づいたことがあります。あんなに開業報告が流れてくるのに、撤退の報告を見たことがない。
探してみました。「廃業」「閉業」「やめた」で検索して。ほとんど出てきません。出てくるのは開業予告と成功報告ばかりです。考えてみれば当たり前で、撤退した人はアカウントごと消えるか、黙って去るから。
SNSは、始める人を実際より多く、やめる人を実際より少なく見せるもの。
私はまんまとSNSの沼にはまって、焦っていたわけです。焦りの材料も、たぶん安心の材料も、やっぱりネットに流れている情報だけで判断しちゃいけないのだと思います。
焦りは消えない。でも、測るものは変えた

じゃあ焦りが消えたかというと、消えていません。いまも開業報告を見ると、いいなあ…進んでるなあ…と指を咥えてみてしまう。
だけど、「みんなに先を越される」という焦りから、「需要に合わせて、良く・長く続けられるために」ということもしっかり念頭において考えようと思うようになりました。
それなら、やることは少し見えてきます。速く開業することじゃなくて、京都で生まれ育って暮らしてきた自分にしかできない宿の形を、時間をかけて作ること。いまは旅館の現場に立って、宿の仕事を体で覚えている最中です。この回り道は、遅いんじゃなくて仕込みなのかもしれない。なんでも自分の考え方、切り替え方ひとつ。
前回の記事でも書きましたが、結局、頭だけで考えていてもわからないんですよね。体を動かして、現場で経験を積まないと分からないこともある。統計は不安の形を変えてくれたけど、答えは数字の中にはなくて、たぶん現場にあります。だから今日も、宿の仕事に立ちます。
もし何かを始める前で焦っている人がいたら、一度だけ、自分が見ている画面が何を映す鏡なのかを疑ってみてもいいかもしれません。一緒にコツコツやりましょうね~!
AOでした。
